僕のとなりで。
助手席で日の出を前に酔い潰れてるのがユウ。

ユウは見た目も中身もチャライ、自他共に認めるカルイ奴。でも、人懐っこい性格からか、憎まれることは、ほとんどない。

『とりあえず、海についたらソッコー落として、目、覚まさせればいいよ。』

で、僕。
(僕なんて言葉は使ったことないけど、一応カンジよく。)

実は中学の頃に、母親の浮気で両親が離婚。相手がいる母親は子供を引き取るはずもなく、仕方なく父親は、僕と兄貴を引き取ったが、ショックからか家の中では一切しゃべらず、食事もとらず、病気がちになり、あっけなく死んだ‐。
歳の離れた兄貴と2人で生活するのは結構ラクでよかったけど、兄貴は、問題ばっか起こす弟がイヤだったらしく、家を出て生活費だけ仕送りしてくれて、ドコにいるのか分からない。
実はマンガとかで見るような、不幸な星のもとに生まれた子供なのかもしれないけど、自分次第では、悪い事態を避けられることもあったのに、しなかった。
別に幸せになりたいなんて思ってなかったから。
学校も時々しか行かず、都合よく使えるヤンキーの先輩とか後輩とつるんで悪さをしてた。
でも、気まぐれで行った日にユウとカズヤが声を掛けてくれ、僕は真っ黒にならずにすんだ。
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