僕のとなりで。
僕がサヤカから目をそらす。

『それがダメ。目を見て、ちゃんと答えなきゃ。リョウスケくんは、優しいんだから絶対出来るのに。てか、苦手だからって諦めてるよね。』

不思議とハラは立たなかった。

今までなら、他の誰かに痛いとこを突かれると、逆ギレして話そうともしなかったのに、サヤカの言葉は、僕を思っての言葉だと理解できたから、すんなり受け入れられた。

『あたしもさぁ、昔は人と話す時に、なんとなく身構えちゃって、顔色伺いながら話してたから、表面の会話しか出来なかったんだけど、ある時、それって相手に気を使うつもりでも、逆に失礼かなって思ったんだ。相手は本音で話してるのに、あたしは本音を出せないのって、裏切ってる気持ちになるんだよね。』

サヤカが、そう言い終わると同時に注文していたラーメンがきた。

『マジ美味しいから、食べよ!』

サヤカが笑顔に戻り、そう言った。

結局、僕はサヤカに返事を返せないまま、ラーメンを食べた。

僕を理解し、自分のことも話してくれたサヤカがススメたラーメンは、確かに美味しかった…。
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