僕のとなりで。
『リョウスケって、昔からそうだよな。コクられて付き合っても、自分からレンラクしなくて、いまいち付き合ってんのか分かんないまま別れちゃってたし。』

カズヤの言うように、僕は付き合った彼女に彼氏らしいことをしたことがなかった。
コクられたから、なんとなくOKして、でも、5人で遊んでたから、会う時間なんてなくて、電話がくれば“淋しい”とか“冷たい”とか言われて、1ヶ月も経たずに別れることもあった。
たまに頑張ったコもいたけど、そのコも3ヶ月が限界だった。

親を見ていて、絆を信じられなかったから、誰も好きにならなかったし、恋とか愛とか信じなかった。

だから、サヤカのことも、どういう気持ちなのか、自分でもよく分からなかった。

『リョウスケ、今回は前とは違うと思うよ。ま、ゆっくり考えなよ。本当は、考えるようなことじゃないと思うけどね。じゃ~な。』

そう言って、カズヤが電話をきった。

電話の後、サヤカのことを考えていた。
確かに、サヤカに出会って、考え方とか人に対する見方とか変わったと思う。

認めたくないだけで、本当はサヤカを好きなのかもしれない。
でも、誰かを好きになって、壊れるのがイヤだった。

父親が壊れるのを見ていたから…。
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