僕のとなりで。
そのままサヤカを家まで送り、やり切れない僕は、話を聞いてもらおうとカズヤとヒトミの家へ向かった。

『どぉだった?』

着いて早々、カズヤが聞いてきた。

『どうでもいいよ。よく分かんない。最初は楽しかったのに、途中から空気悪くなって、帰りの車ん中なんて、最悪だった。』

投げやりな僕の言葉に、カズヤがため息をつき言う。

『リョウスケさぁ~、なんかサヤカちゃんに言ったんじゃないの?てか、お前は受け身すぎ。たまにはユウみたいに押してみろよ。』

『てか、別に好きとかじゃないし。だから、押す必要なくね?付き合ったりとか、めんどくさい。だいたい、お互い好きじゃなきゃ付き合う話にはなんないけどね。』

自分でも、凄く後ろ向きなのが分かる。

なんだかイライラした。

サヤカの気持ちが分からないこと、自分がハッキリできないこと、素直になれないこと…。

正直、好きになったのは初めてのことだった。

『まずは自分の気持ちだよ。相手がどうかっていうのは、その次でしょ。』

ヒトミが割って入る。

『よく分かんない。自分がハッキリしない。もういいよ。』

『スゲェいい子だと思うけど…。』

カズヤがボソッと言った。

そんなこと知ってるよ。
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