僕のとなりで。
『なんで？つまんなそうな顔してた？』

少し間をおいて、逆に、サヤカが僕に聞く。

『いや…なんか、いつもと違う気がしたから。あんまり話さなかったような感じだったし。』

うまく説明できない…。

『別に、普通だったよ。』

サヤカは、そう言って笑ったけど、いつもみたいな笑顔じゃなかった。

『じゃあ、帰るね。お疲れ様。』

そう言って帰って行くサヤカを見送るしか出来なかった。



車に乗っても、家に帰っても、サヤカのことが頭から離れない。

サヤカの気持ち、自分の気持ち。そして、どうしたいのか。
もしかしたら、サヤカも僕を好きかもしれない。でも、最近あまり笑ってくれないし、ただの勘違いかもしれない。だったら、好きって言っても迷惑がかかるし、なにより、フラれて微妙な関係にはなりたくない。そうなるよりは、このまま遊び仲間でいいのかも。

同じことを頭の中がグルグルまわって、どんどん落ち込む。

自問自答をしてみても、結局は、自分が傷つかないように考えてるだけだったんだと思う。

想い続けて裏切られた、父親のようになりたくなくて…。

< 55 / 110 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop