僕のとなりで。
“僕がサヤカを好きだと気付いて、サヤカは僕に冷たくなった。”

そんな風に考えるようになってしまった僕は、サヤカにレンラク出来なくなった。



サヤカからのレンラクを待つだけ。

声を掛けられるのを待つだけ。

サヤカが僕と接しなくなったら、僕は諦められる。

人任せなズルイ片思いだった。



『おはよう。なんか、久しぶりな感じするよね!』

相変わらず、バイト先で会うと、サヤカは普通に声を掛けてくる。

『おはよう。』

うまくサヤカと話せない。

『もうすぐヒトミちゃん、子供産まれるよね?楽しみぃ~!お祝いしたいよね!』

自分のことのように嬉しそうなサヤカ。

『なんか、自分が産むんじゃないかってくらい、喜んでない(笑)?』

笑う僕を見て、サヤカが笑う。

『なんか久々に、リョウスケくんの笑った顔見た気がする。』

久々?

『え?そんなことないよ。』

と言いながらも、サヤカと話す時、緊張とか不安で、笑ってなかったことに気付いた。

『もともと、あんまり笑ってないけど、そっけないから、あたしと話すのが、イヤなのかと思ってた。』

“逆だよ。”

そう思っても、口には出来ない。

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