僕のとなりで。
『サヤカさんは、よく笑うし、面白いし、話してると楽しいから、イヤじゃない。』

そう言うだけで、精一杯だった。

『そっか、ありがとう。じゃあ、とりあえず、サヤカさんて呼ぶのやめてね(笑)。』

『慣れてるから、すぐは直せないよ。しかも、なんて呼べばいいの?』

僕は、恥ずかしくて、カズヤやユウのように、“ちゃん”付けで呼ぶことが、未だに出来てない。

『サヤカでいいよ!』

それを悟ったかのように、呼び捨てでいいと言うサヤカ。

『年上でしょ。一応…。ムリだよ。』

“ちゃん”付けよりは、恥ずかしくないけど、なんか、図々しい感じで気が引ける。

『えぇー!年上でも、あたしがいいんだから、呼び捨てでいいよぉ~。なんか、一線引かれてる感じでイヤ。』

『まぁ、そのうち…。』

そんなこと言われても、いきなりはムリだし。

『じゃあ、来週までに呼べるように練習してきて(笑)!』

人の名前を呼ぶのに、練習が必要かは分からないけど、僕の性格を知っての言葉なんだと思う。

『呼べたらね(笑)。』



今日は、前に戻ったみたいに、ちゃんと話せた気がした。



僕だけは…。



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