僕のとなりで。
想いだけなら…好きか嫌いかだけなら、ハッキリ好きだって言えるのに、そこに感情…気持ちが入ると好きだという想いより、恥ずかしさとか、失敗の不安とかがまとわりついて、想いに影を生む。

『今から呼べば?』

カズヤが言う。

『いいよ、別に。だって、アサミさんも来ないんでしょ?』

その言葉を聞いて、カズヤが電話を掛け始める。

『もしもし、今、大丈夫?』

電話の相手は、間違いなくサヤカだ。

『出て来れないかな?花火しようよ!』

電話を切ったカズヤが、ニヤッと笑った。

『来るってさ。よかったね。』

それを聞いて、皆も冷やかす。

『マジで、そういうのやめろよ。』

照れ臭くて、恥ずかしくて、皆に背中を向けた。

内心、嬉しかった。



しばらくして、サヤカが公園に現れた。

『急にごめんねぇ~!早く花火しよ~!』

ユウがさりげなく、サヤカを僕の隣に引っ張って来た。

『いきなりで大丈夫だった?』

ニコッと笑いサヤカが答える。

『うん、平気!楽しいし♪』

『そっか。』

サヤカの笑顔を見て、いつの間にか、僕も笑っていた。

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