僕のとなりで。

『サヤカちゃんとカズヤ、最近レンラク取り合ってるみたいで、何回か会ってるっぽいんだよね。リョウスケのことかなっても思ったんだけど、だったら、あたしがいるところで話してもいいじゃない？なんで、一言も言ってくれないのかなって、ありえないことでも不安になっちゃってさ…。』

サヤカとカズヤ。ヒトミが不安になる気持ちも、なんとなく分かる。

好きな人が、たとえ仲間内でも、異性と２人で会うのは不安だ。

『大丈夫だよ。カズヤは、俺がサヤカさんを好きだと思ってるから、花火の時のこと、フォローしてんだよ。』

自分に言い聞かせる言葉でもあった。

『そうかな…？正直言うと、花火の前からレンラク取ってたんだよ？』

カズヤの面倒見の良さは、今に始まったことじゃないけど、今までとはカズヤの状況が違うのに…と少し無責任さを感じた。

『大丈夫だって。俺がモタモタしてるから悪いんだよな。ごめん、ヒトミ。』

とりあえず、ヒトミの不安を除いてやりたかった。

『リョウスケが謝ることじゃないよ。恋愛は、本人同士の問題なのに、世話やいてるカズヤが悪いんだから。』

そう言ったヒトミが、電話の向こうで泣いているのが分かった。