僕のとなりで。
もめたくなくて、苦し紛れに言った言葉だった。

『つうか、リョウスケいい加減にしろっつぅの。お前鈍すぎだから。そういうのがサヤカちゃん不安にさせんだよ。』

カズヤに言われて、やっと気付いた。

『ごめん、リョウスケくんが、あたしのことどう思ってるか知りたくて、あたしからカズヤくんにレンラクしたんだ。』

サヤカが僕を好きかも…なんて、考えたこともなかった。

『ごめん。』

『いいんだ。こっちこそごめんね。ムリな気はしてたから…。』

そう言って、更に泣き出すサヤカ。

『あ…そういう意味じゃなくて、気付かなかったことを謝っただけで、俺、断るつもりないけど…。』

僕は、こういう時でも言葉が足りなくて、また傷つけた。

『ハッキリ言えよ!俺達は帰るから。ヒトミ、帰るよ。』

カズヤがしびれをきらした。

『リョウスケ、頑張ってね。』

僕とサヤカのやり取りを見て、いつの間にか笑顔を取り戻したヒトミ。

『え?』

訳が分かってないサヤカ。

カズヤの車を見送りながら、サヤカに語り掛ける僕。

『俺、言葉が足りないし、素直じゃないから、これからも傷つけるかもしれない。でも、ずっとサヤカを好きだと思うから。これからも一緒にいて。』
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