僕のとなりで。
『チトセちゃん、最後まで言ってたね(笑)』

みんなと別れた帰りの車の中。

『うん。チトセって、モテるけど男運がないんだよなぁ。』

実は、今日の飲み会でチトセは、自分だけが彼氏がいないとぼやいていて、帰り際まで、ずっと言い続けていた。

『紹介してあげたら?リョウくんの友達なら、いい人いそうじゃない?』

『いや…俺の友達は、チトセも友達だから、全然意味ないんだよね(笑)』

紹介しろとしつこいチトセに、ユウが会社の人を紹介する…と言ったけど“ユウの知り合いは、いまいち信用できない。だって、ユウが信用できない。”そう言って、断っていた。
とばっちりで、チトセがカズヤと僕に紹介を求めてきた。

『チトセちゃんって、どういう人が好みなのかな?』

サヤカは、人のことを自分のことのように真剣に考える。

『ん~、どうだろ。付き合った男って、全部バラバラだからなぁ。前に、自分を理解してくれる人がいい!って言ってるのを聞いたことあるけど…。』

僕の言葉に何も言わず、ただ僕を見るサヤカ。

しばらくして

『チトセちゃんって、実は本当にリョウくんのこと、好きだったりしないかな?』

急に不安げなサヤカが、可愛く思えた。
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