僕のとなりで。
『掃除機なぁ~い?』

隣から、サヤカの声がする。

『ある…と思う。どこだっけ…。』

『後で使うから、用意しておいてね!』

立ち上がって、掃除機を探し始めた。

『あったよ。』

『ありがとう!』

掃除機を持って、部屋に入って行く。

『もう少し待ってて。なんか、完璧にしてから見て欲しい(笑)』

楽しそうなサヤカ。

『了解。』

また隣の部屋に戻る。

『終わったよ!』

掃除機の音が消えて、サヤカに呼ばれる。

『スッゲ!』

綺麗すぎるくらいに片付けられた部屋は、自分の部屋じゃないみたいだった。

『本当は、布団も干したいけど、太陽出てないし、ムリだった(笑)』

満足そうに笑うサヤカ。

『片付けだって、普通はしないよ。…でも、ありがとう。ビックリした。』

ポンッと、僕の肩を叩き、サヤカが言う。

『これをいつまでキープできるかだね!』

『大丈夫でしょ。その度に片付けてもらえば…。』

『誰に?!』

『サヤカ(笑)。』

『高いからね!』

『金取んの?!』

『当たり前だよね。』



こんな、くだらない会話が、その時の僕は、楽しくてしかたなかったのに、そんな大事なことを忘れるなんて…。


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