僕のとなりで。

高卒で、なんの資格もない僕は、体を使うような仕事しか紹介してもらえなかった。

でも、もともと机に長時間座ってることが出来ない僕には都合がよかった。

駐車場へ戻る途中、後ろから声を掛けられた。

『リョウスケくん？』

振り返ってみると、ヒトミの母親が立っていた。

『久しぶりだねぇ！元気だった？ちょっと会わないと、男の子は変わっちゃうのね。次に会った時は、おばちゃん分かんないかも（笑）』

ヒトミの母親には、高校の頃に、凄くお世話になった。

遅刻ばかりしていた僕たちを、車で学校まで送ってくれたり、“夜中に外で遊ぶくらいなら、家で騒げ！娘が目の届かない所で悪さするよりはいい！”て、男３人も一緒に泊めて面倒見てくれたり…。その時食べたご飯が、凄くうまかった。

親らしい親を知らない僕が、ヒトミの母親に会って、親を知った。