僕のとなりで。

『お久しぶりです。買い物ですか？』

『ヒトミにね、頼まれたの。ずっと遊び回ってたから、１日中ベットに寝てるのがイヤみたいで、雑誌とかＤＶＤとかゲームとか、色々言われたけど、全然分かんないのよ（笑）』

ベット？

『歩けないんですか？』

ヒトミの母親が、不思議そうな顔をする。

『まだ、出産したばかりだからね。と言っても、歩いてないわけじゃないけど、病院で歩ける所も限られてるから、飽きちゃうんじゃない？あら？ヒトミに会ってないの？』

出産のことじたい知らなかった。

『いや…子供が産まれたのも知らない。なんでだろ。』

『カズヤくんから連絡してると思ってたのに。そう言えば、チトセちゃんとユウくんにも会ってないから、誰にも言ってないのかな。言っちゃまずかったかな。驚かすつもりなのかも。怒られちゃうねぇ（笑）』

『じゃあ、俺、聞かなかったことにしますよ。ところで、買い物、付き合いますか？俺で分かることもあるかもだし。』

『本当？！助かる～！じゃあ、お願いしちゃうかな。』

ヒトミの母親は、いつもニコニコしていて、あったかいカンジがした。