僕のとなりで。
『しっかりしてるのかぁ、みんなの前では。それはそれで嬉しかったり、寂しかったり。親は、いつまでも子供だと思っていたいからねぇ。ヒトミが赤ちゃん見てるのを横で見てて、もう、ヒトミも大人なんだなぁって思ってね。』

そう言った横顔が、凄く寂しげだった。

『でも、あと3人いるじゃないですか。特に俺なんて、やっと、就職先探し始めたとこですから(笑)』

ヒトミの母親が、僕の頭を撫でる。

『ありがとう。やっぱり、リョウスケくんが、1番優しい子だね。』

『いや…それ、みんなに言ってんでしょ。』

笑いながら答える。

『うん、おばちゃんの子供達は、みんな1番だから(笑)』

“母親となんて恥ずかしくて歩けない。”とか聞くけど、僕は、こういうのもいいと思っていた。

頭を撫でられたのも、何年ぶりか分からないくらいで、ちょっと照れ臭かったけど、妙に懐かしく感じた。

『今度また、みんなで泊まりにいらっしゃい!』

別れ際に言ってくれた一言が、なんか嬉しかった。

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