僕のとなりで。
家に帰り、サヤカの荷物を持って、サヤカを迎えに向かった。

僕の車を見つけて、笑顔で手を振り走ってくるサヤカ。

『もしかして、待ってた?!』

『ねぇ、この距離で微妙に息切れしてない(笑)?』

ちょっとふくれて、サヤカが答える。

『全然!』

『おつかれ、おかえり。』

僕の一言で、サヤカが笑顔に戻る。

『ただいま。』

ちょっと照れたように言った。


『今日、どうする?すぐ帰れるように、荷物は持ってきたけど…。』

サヤカの表情が曇ったように見えた。

『どこか、寄り道してから帰ろうかな。時間ある?』

不安げに聞いてきた。

『余裕。余ってるぐらいだから。』

ホッとしたように笑うサヤカ。

いつもと様子が違うのは、すぐ分かった。


サヤカと夕飯を食べ、ヒトミの母親と会った話をした。

『正直、俺の母親って、外に男作ってから家にほとんどいなかったし、出て行ってからも寂しくなかったけど、一般的な母親って存在に憧れはあったなぁ。みんなウザイって言うけどね(笑)4人とも色々と問題あっても、なんだかんだ言って、両親揃ってるからね…贅沢だよ。』

黙っていたサヤカ。

『リョウくん…。』

そのまま、しばらく時が流れた。

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