僕のとなりで。
しばらく沈黙が続き、サヤカが重い口を開いた。

『あたしのこと、あんまり話したことないよね？』

確かに僕は、会っている時のサヤカしか知らない。

でも、それは僕にも言えることで、ある程度のことしか話してなかったし、深いところまでは話したくないこともあったから、サヤカも言いたくないんだと思ってた。

『あたしの家って、親が再婚同士で、父親が実の親なんだけど、母親にも息子が一人いて…それが、この前見掛けた弟。最初は、みんな仲良くやってたんだけど…、ていうか、今も両親は円満だと思ってる…。』

言葉をつまらせるサヤカ。

『弟と何かあったの？』

あまりイイ予感はしてなかった。

『…。』

サヤカが答えないまま、時間が過ぎる。

『あたし、リョウくんと付き合ってていいのかな…。付き合う前に話さなきゃいけなかったよね…。』

そう言って泣き出した。

『とりあえず、俺、サヤカと付き合えて、マジで良かったって思ってるから、なんでも言って。大丈夫だから。』

僕の言葉にうなずきながらも、涙で言葉が出ないサヤカを、しばらく見つめていた。
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