僕のとなりで。
『あたしね…。』

どのくらいの時間が経ったか分からないが、サヤカが、言葉を詰まらせながら話し出す。

『弟に脅迫されてる…。』

『は…?脅迫って?!』

突然の告白に、頭が混乱する。

『理由があって…。あたし、最初から嫌われてたっぽくて、弟に。で、始めは、何かあると蹴られたり、殴られたりしてて…。』

正直、ここまでの話でムカついていた。今すぐにでも、殴りに行きたい気分を抑え、静かに話を聞いた。

『それで…ね。1回だけ…。たった1回なんだけど…。』

そこから先が言えない様子のサヤカ。

『どうしたの?』

僕が声を掛けると、おさえていた涙が溢れ出したサヤカ。

『ごめんね…。あたし、弟にやられたの…。誰にも言えなくて…。でも、リョウくんと付き合う前だったし、リョウくんと付き合えるようになって、すごく心強くて、今は、リョウくんに言って、フラれることの方が心配で。』

僕が言葉を発するのを止めるかのように、続けて話すサヤカ。

『サヤカ。俺、弟殴っていい?』

慌てるサヤカ。

『ダメだよ!お父さんもお母さんも知らないし、そんなことバレて、家庭を壊したくない!』

サヤカが必死なのが、余計にムカついてた。

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