僕のとなりで。
誰にも言わずに耐えてきたサヤカ。

でも、僕は、そんなサヤカがイヤだった。

自分が我慢することで、平穏な家族を演じてる。

絶対そんなの間違ってる。

『サヤカ。俺は、我慢できない。』

こんな時まで言葉が足りない僕。

『そうだよね。ごめんね。他の人と…しかも、弟とやった奴と付き合えないよね。ダメだよね。』

そう言って、泣き崩れるサヤカ。

『そうじゃなくて!サヤカと別れる気ないからね!てか、我慢出来ないのは、サヤカの家族に対してだよ。1番ムカつくのは弟だけど、気付かない両親にも腹立つ。そんな家に帰ることないよ。』

僕の言葉を泣きながら聞くサヤカ。

『てか、言うべきじゃないの?』

首を振る。

『なんで?サヤカが両親のことを考えるのと同じように、両親もサヤカのこと考えるべきじゃん。』

何を言っても首を振り続けるだけ。

『どうしても言わないんだ。』

黙ったままだ。

僕も何も言えなくなった。

サヤカにとって、1番いいのが何か…それを考えてた。


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