僕のとなりで。
『体…きつくないの?掛け持ち。』

僕はサヤカの体が心配だった。

『今の所は平気かなぁ~。てか、あの生活から抜け出せただけで、気持ちも体も楽になった!本当に、リョウくんには感謝してる…。』

サヤカには伝わってないけど、サヤカと出会ったことで、僕の方がサヤカに救われてたんだ。

いつも一緒にいた仲間は別だけど、育った環境のせいで新たに出会う人を信じなかった。
深く関わらなかった。
愛さなかった。
心を開くことなんて知らなかった。


サヤカと出会って、そのすべてを知った。

それ以上に、大切な人を守ることも知った。


『サヤカ。俺さぁ、就職したいんだ。もし、就職先が決まったら…。』

そこから先の言葉は、サヤカにとって、まだ早い気がして、なんとなく言えなかった。

『何?!何?!途中で止めると気になるものですが?てか、スゴイ!就職するの?!』

『サヤカは働いてんじゃん。凄くないし。普通のことが、今まで出来なかっただけだよ。でも、いまいちやりたいことがなくてさぁ。ま、選べる程、何も持ってないんだけどね(笑)』

あえて、さっき言いかけた話題をさけた。

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