【更新停止します】ツンデレ男子捕獲作戦☆
そう言い、優里さんはまたにっこりと笑って颯爽と去っていった。
あたしは無意識的にあの時のことを思い返していた。
知らない男の人、知らない男の声、知らない手が自分にまとわりつくあの感覚。
皆が来てくれたからあの後は全然怖くなんてなかった。だけどもう一度アレを体験しろと言われたら絶対に嫌だ。
怖い。その感情しかない。
だから……さっきのあの言葉は結構くるものがあった。
あれだけ自信満々だったんだから、お金持ちって言うのは間違いないんだろう。……そして、樹くんを本気で手に入れようとしていることも。
「……」
握りしめる手に力が入って爪が食い込む。
怖い。怖くてたまらない。
だけど。
あの日あの場所で。
一体誰があたしを恐怖から救ってくれた?
誰が、あたしに手を差し伸べてくれた?
そんなのもう答えは出てる。
「………」
優里さんに譲れないものがあるように、あたしにだって譲れないものがある。
また麻衣や唯、そして樹くんに迷惑をかけてしまうだろう。ごめんなさいをいくら言ってもたりないくらい。だけどあたし樹くんが好きだから、だから諦めるとかもう無理になっちゃった。
「頂戴」って言ってたけど、樹くんの心があっちに向かないとほんとうに手に入れたことにはならない。
あたしはあたしの方法で、頑張ってみよう。そう思った。