桜思い出す頃
3章
「みんなー海だよ海ー」

「キレイだねー」

俺らは今夏休みなので夏蓮の親が経営しているリゾートホテルに泊まることになって海にいる。

メンバーはいつもの6人だ。

「今日の夜肝試しに行かない?」

葵が急に言い出した。

みんな怖がってはいるが、結局行くことになった。

「それじゃ、二人一組ね」


葵がしきってじゃんけんで


若菜と大志ペア

葵と俺

夏蓮と翼とゆう
なんとも言えないペアになってしまった。

でも俺はあの日以来若菜が気になってしまう。
期待とかじゃないけど赤めている若菜がとても桜のよーに美しく見えたんだ。


「とりあえず神社に手を合わせに行ってそこでお金を入れて戻ってくる。最初は翼と夏蓮たちからね」


順番もじゃんけんで決まってルート至って簡単だった。


でもこの肝試しが恐怖の肝試しになるなんてこの時誰が予想出来ただろーか。


翼と夏蓮が帰ってこない。
普通なら10分もあるば帰ってこれる。
電話しても出ない。


「ねえ、これ探しに行ったほうがよくない?」

いつも冷静な若菜が口を開いた。


たしかに30分も帰ってこないのは不思議だ。


「ねえ、あれ…」


「翼?おい翼こんなとこでなにしてんだよ。夏蓮は?」


「…れた」

「おい、しっかりしろ」


「連れられた。変な二人組だ…」


翼は空手の黒帯だからそう簡単にやられるわけがない。


「とりあえず大志は女と翼をホテルに連れていって。」

「悟?」

「俺は夏蓮を連れ戻す」


そう言った瞬間に大志が走り出した。
大志は体育会系だから足が速いからもう見えない。


「しょーがねーから俺らはホテルに戻ろ」

「大志と夏蓮は?」

泣きながら葵が聞いてくる。


「大志は昔ヤンチャしてたし喧嘩は負け無しだよ。大志に任せよ」


そうしてホテルに戻って二人の無事を願った。

大志…お前なら夏蓮を守ってくれるよな?

俺は一人で誰にも聞こえないように呟いた。


1時間後…

「はあ…はあ…みんな待たせた。」


「大志、ありがとう…」

葵が泣きながら大志に感謝している。


「みんな…ごめんね?わたしの…せいで。」


「まあまあ夏蓮も大志も無事だからそれでいいだろ。」


翼は葵の背中をさすりながら慰めている。


次の日。

みんなで遊園地に行った。
昨日の事もあるから最初は気まずい雰囲気だったけれど、段々雰囲気は和らいで行った。


「ねえ、次あれ乗らない?」

葵が言い出した。


あれとは、ここの遊園地で一番怖いボルトマウンテンだ。
このジェットコースターは高さが半端ないから、浮遊感が凄いらしい。

みんな怖がってる。


「いーよ。乗ろ」

口を開いたのは夏蓮だった。一番怖がりなのに。
恐らく昨日の事で気を使っているのだろう。

そうゆうとさっそく乗りに行った。

…。


正直もう乗らないと心に誓った。
あれは恐怖だ。
絶叫とかそういうのを越えている。


腰が抜けてる。
みんなそんな感じになっている。言い出しっぺの葵ですら足が動かないみたい。


それから、色々回って日も暮れ始めて、俺らはホテルに戻った。


「明日が最後かー。」

ホテルに帰ってる最中に大志が口を開いた。


「そーだね。あっ明日はさ花火しない?」

「いいねー。」


葵と若菜は二人で話を進めていた。

いや、全然いーんだけどね。


ホテルに帰ると、あれ?
大志がいない。

昨日のこともあるからすぐに大志に電ぬ話しよーと携帯を開いたら、メールがあった。


すぐ帰る。



たったこれだけだけどなんもないみたいで安心した。




30分もしないうちに大志は帰ってきてこの日すぐに寝た。


2泊3日の最終日は昨日葵たちが話していた花火を夜にするらしいが昼は何をするか決まっていなかった。


朝、起きてもうみんなはロビーに集まっていた。


「やること決まったの?」


「うん。みんなで子供に戻ろって話になって、鬼ごっことかかくれんぼをするの」


本当かよ…
いーんだけど、本当に子供だな。


まあみんな楽しみそうにしているし、決まったなら楽しも。


「はーい。みーんな出てきなさーい。」


そんなこんなでかくれんぼしています。


鬼はじゃんけんで葵だ。


公園だから茂みも多いから隠れやすい。

と思っていたら…


「悟みーつけた」


なぜ、ばれたのだろう?
ちゃんと茂みに隠れて…あれ?
あっ…
茂みからおしりが丸見えだった…


かくれんぼもして鬼ごっこもして本当に子供に戻った気分だった。



遊んでいると時刻は18時だった。


「そろそろ…だな。」


ん?みんなそわそわしてる?
なんか俺だけはみられてるような…

気のせいか。


そう思っていると…



バァーン…バァーン…


「え…」


「悟。誕生日おめでとう。」


あっ今日俺誕生日だった。
みんなと遊んでいてそんなこと忘れていた。


ッー……

あれ?頬に何か流れた?


「ちょ…悟何で泣いてるんだよ。え…いやだったか?」


いや、違うんだ。
この涙は初めて友達から誕生日とか祝ってもらったから。


「ごめん。違うんだ。ありがとう。この想い出は絶対忘れない。」


そう。絶対忘れない。
花火も終わり俺らは各々帰宅した。
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