ホストの憂鬱
それでも、るみは足しげく通って来てくれていた。

俺は「るみ」と呼びかけた。

るみは「何?」と言った。

「終わったら、どこかに行く?」と俺は尋ねた。

るみは「また嘘つくの?」と、悲しい眼で、言った。

俺は笑顔で、「終わってから行くんだから嘘はつけないよ」と、言った。

るみはわぉっとだけ言った。

俺はカウンターの下で愛にメールをうった。

今日は一緒に帰れない。アフターに行く。
先に帰って。

と、短文で用件だけを告げる。とても冷たいメールを。
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