ホストの憂鬱
俺はるみと一時間程度、トラッシュで飲み、談笑した。

会話といった会話はしない。るみは俺の肩に頭をのせてもたれ掛かる。

俺もそれを受け止める。るみの気持ちを。俺のポケットがたびたび振動していた。

マナーモードの携帯。相手は誰かはみなくてもわかっていた。

「そろそろ帰ろうか?」と俺が言った。

「うん」と、るみが言った。

トラッシュの外にでると太陽がのぼり、あれほどネオンで光り輝いた街は人通りの少ない、田舎街に変わり果てる。

俺はるみがタクシーに乗るを見届ける。

「またね」と言って。

そして俺もタクシーに乗った。
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