ホストの憂鬱
ガクさんはもう一度、知を突き飛ばして言った。

幸恵から全部聞いたと。

知は幸恵を自分の顧客にするために、ガクさんの弱みに付け込んだ、いや、ガクさんだけですむ話しじゃなかった。

知はガクさんにはみくさんがいるから、幸恵は色恋だと、告げて、自分のものにしようとしたのだった。

色恋…それは俺達ホストにとって、あたりまえのことだ。

だけど…色恋だと気付かせてしまったらおしまいを意味している。

彼女たちは、自分でも、薄々は色恋だと思いながら、反面、自分は特別だと思っているから、毎週のように大金を使い、通っているのだ。
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