ホストの憂鬱
愛は俺のかぶりをふる動作を見て言った。

「首でも、痛いの?」

あどけない表情で。

だから俺も「肩がこってる」と言った。

愛はベッドから起き上がり、俺の肩を揉みながら言った。

「明後日は飲んじゃだめよ」

「わかってるよ」

明後日は愛の誕生日だった。

土曜日だから二人とも仕事を休むわけにもいかず、一日、ずらして連休をとった。

「愛はいいよな」

「なんで?」

「仕事、一時までだから寝れるじゃん」

愛は揉んでいた手を爪に変えた。

優しくだったけど。
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