ホストの憂鬱
そして愛は「いつも、起きてるでしょ」と言った。

「わかってます。何で京都に決めたの?」

「内緒」

愛は後ろから抱き着き甘えた。

俺も愛の頭を撫でた。

そして、二人で京都に向かう。

車で初旅行に。

俺は約束通り、一滴も酒を飲まず、朝の六時に軽自動車で高速道路を走る。

愛は助手席でお菓子を食べながら時折、後部座席を見て微笑む。

俺が昨日、愛の誕生日に花束を店に一万円分も贈ったから。

だけど、こんなにもすごい量の花束とは思いもしなかった。

まあ、小さいお金がなかったから、花屋に見栄をはったのが原因だけどね。
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