ホストの憂鬱
奥の部屋には、大きな机が真ん中に置いてあり、そこに三人の人物が座っていた。

真ん中に位置している人がオーナーだろう。その真ん中の彼が言葉をかけてきた。

「きみたちが昨日連絡してきた速水くんと里中くんだね?」

「はい」二人同時にこたえた。もうお互いの表情を伺う余裕もない。

彼は右側に座る人の顔をみた。右側に座る人はうなずくだけだった。

そして真ん中の人は言った。

「スーツきてるから今日から働く?」っと。

えって感じだ。面接のまえに履歴書すらだしてないのに。

俺は困惑して、何も言えない。

知が口火をきってくれた。

「今日は帰ります」

「それじぁ明日からね。夜の七時にお店のほうにきてね。場所はわかるかな?」

「わかります」

「それじぁ、明日ね」

「はい、失礼します」

俺達は部屋を後にしようとした矢先、呼び止められた。

「それから明日、名前聞くから、考えといてね。あんまりださい名前はやめときなよ」

「はい、わかりました」

俺達はビルの下におりると二人同時にタバコに火をつけた。

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