ホストの憂鬱
チャリンっと音がなる。それはドアに備えつけた鈴の音、つまりドアが開いたことを意味していた。

なおさんは一瞬、体を硬直させた。そしてすかさず「いらっしゃっませ」と有線から流れる音楽をかきけすくらい大きな声で言った。

「いらっしゃっいませ」と続く俺達。

入ってきたのは見た目、二十代後半くらいの女性二人組だった。

なおさんはすかさずコースターをカウンター席の奥に用意し、右手をのばし、どうぞと言わんばかりに二人を誘導した。

その間、俺達はというと、その光景を見ているだけだった。
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