ホストの憂鬱
麗子ママは各、ボックス席に挨拶をしにまわっている。

ウエイターというのかボウイといえばいいのか、彼も困り果てている表情をしていた。

その険悪なムードにきずいたのか、ようやく麗子ママがやってきた。

「ごめんね、キョン、何飲む?」

「そう言われても」

と、俺が曖昧な返事を返すと麗子ママは「よし、祝いにシャンパンといきたいとこだけど、それはキョンが一人前になってからね」と言い、ボウイにむかって「XOを持ってきて」と言った。

この時の俺はXOが高級なブランデーだとはしらなかったのだった。

麗子ママは慣れた手つきでXOの水割りをすぐにつくり「乾杯」と言った。

ママのほうが断然に各上なのにグラスはママのほうが下で乾杯をする。

俺はママのようになれるのだろうか?

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