ホストの憂鬱
はじめまして愛ですというと彼女は空になったグラスにブランデーを作りはじめた。

ママの作法を見たためなのか?どこと無くぎこちなく感じられる。

ブランデーを作り終えると彼女は少し小さな声で聞いてきた。

「同業のかたですか?」

「一応、今日からなんだけどね」

本当は見栄をはりたいところだったが嘘をついても見抜かれると思い、やめた。

「そうなんですか。私も入ったばっかりなんです」というと、水滴のついたグラスをとり、おしぼりで拭いた。

入ったばっかりと言った彼女だが、気配りはやはりプロだと思った。
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