ホストの憂鬱
俺は不安いっぱいでムーンのあるビルに着いた。

六階にあるムーンにあがるのに俺はエレベーターのボタンを押すのにためらう気持ちがある。

なんて小心者なんだと自分を心の中で叱咤し、ボタンを押した。

多分、手が震えていた。

そしてムーンのドアの前に着いた。

こうなれば、なるようになる。

そう思い、俺は勢いよくドアをあけて、有線から流れる音楽をかきけすくらいに大きな声でさけんだ。

「いらっしゃいませ」と、内心、ただいまか迷ったのだけど。

すると店内にいた、すべてのスタッフが「いらっしゃいませ」と呼応した。

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