ホストの憂鬱
俺はオーナーの横につき、愛ちゃんの真っ正面についたはいいものの、何を話せばいいのかに悩んでいた。

すると麗子ママが言った。

「ロビン、五人で間奏一気しようよ」と、言った。

ロビンとはどうやらオーナーのことみたいだ。

オーナーは俺のほうを見て言った。

「キョン、まだ飲めるか?」

まだ飲めるとはどういう意味かも理解せずに俺は簡単に「まだ飲めます」と言った。

間奏一気の説明を俺はオーナーから教えてもらった。

ワン画面ずつ、順番に歌い、間奏になった次の順番の人が一気にお酒を飲むというゲームだった。

このゲームは恐ろしいと思うのにたいして時間はいらなかった。

オーナーがニコラシカグラスを用意し、氷を一つだけ入れると、焼酎をそれに注いだ。

始めのうちは間奏にあたることなく進んで行ったが、運がいいのか、悪いのか、愛ちゃんばかりがはまり、つらそうな顔をしはじめた。

その顔をみたオーナーが俺に言った。

「愛ちゃんがかわいそうだからキョンがかわりにのんであげて」と。

俺は一つ返事で「わかりました」と言った。

全然、あたっていなかったし、なにより愛ちゃんの代わりだからと、そう思って。
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