ホストの憂鬱
深夜一時を過ぎた頃、ガクさんが出勤してきた。

女の子と一緒に。

今度はガクさんに呼ばれる事になったのだが、目の前の女の子を見て、世間の狭い事を確認させられる事になる。

「はじめましてキョンです」と言ったとき、目の前の女の子は口を開けて俺を指指し「ああ」と言った。

ブラックライトで照らされた顔に、見覚えがある。

「みくさん?」

「キョンなにしよん」

やっぱりみくさんだった。みくさんとは中学の先輩後輩のなかで、キョンのあだ名をつけた人だった。

みくさんの中学時代はそりゃ相当な悪だった。

恋愛なんてくそくらえとしか思っていないと思っていた。

だから、こんな場所で会うとは思っても見なかったし、みくさんもそう思っているに違いない。

この時は知り合いに会えてうれしいと思い、中学時代の話しに華を咲かせていたけど、俺はこの世界で友達に会うと言うことは罪を背負う覚悟がいるって言う事を教えられる事になる。
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