ホストの憂鬱
始めのうちはやる気満々で、目につく女性、すべてに声をかけていた。

「こんばんは。何してるの?新規は三千円飲み放題だから一緒に飲まない」ってな感じで。

三千円で飲み放題なんだから少しくらい来てくれてもいいものだけど、なかなかひっかかるものでもなかった。

たいていは、カラオケに行くから、予定があるからと断れ、ひどいものになると無視だった。

まるで見えない虫が飛んでいるかのごとく、すたすたと歩いて行く。

まあ、三千円飲み放題なんて信用されにくいのかもしれない。

だいたい三千円飲み放題は赤字になるのは当たり前だし、いかに次につなげるかが勝負だった。

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