ホストの憂鬱
ジュリアにつくと、店内は満員だった。

すぐにボウイがやって来て俺達を席に案内した。

席につくとすぐに麗子ママはやってきて、ボウイに一言、言った。

「愛ちゃんをこっちに」

そう言うと俺の顔を見て、表情を伺う。

オーナーにママ、二人は似ていると思った。

「忙しいじゃない」と、ロビンさんが麗子ママに言った。

「女の子達が頑張ってくれてるからね」と、俺を見て言った。

プレッシャーだ。

「がんばります」

それしか言えない。

麗子ママが物思いにふけるように言った。

「明日は四月二十四日か、早いね」

「早いねえ」

この二人の歴史を俺はしらない。

だけど、すごくいい雰囲気だった。

「キョン、明日は頑張るのよ」と、急に言った。

「はい」

「大丈夫だよ」と、ロビンさんが言った。

「うちもみんな頑張ってくれてるから」

多分、期待をこめて言った言葉に違いない。

俺達新人はまだ、誰一人として完全な固定客を掴んでいないのだから。
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