ホストの憂鬱
麗子ママが俺達のお酒をつくり終えると、愛ちゃんがやってきた。

「失礼します」と言って、俺の隣に座る。

ロビンさんと麗子ママは揃って、俺達二人を見て笑った。

「お似合いね」

「本当、昔を思い出す」

俺と愛ちゃんは顔を朱くして、黙りこむことしかできない。

ママがボウイに向かって言った。

「例のものをもってきてくれる」

そう言ってだされたものはバースデーケーキだった。

「明日は食べる暇ないだろうからね」

「ありがとう」

俺と愛ちゃんは同じ事を考えたに違いない。

二人の目はケーキにたてられたロウソクの数を数えていたから。

三十二本、三十二歳なんだと。
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