ホストの憂鬱
二人は流れ川を手を繋ぎ堂々と歩いた。

それはお互いの仕事柄、本当はしてはいけない行為だとわかっている。

だけど離れたくないと言う思いが俺達に、そんなことはどうでもいい、と、言う思いにしていた。

そして俺は自分の店の前に着いた。

「頑張ってね」と、愛ちゃんが言った。

「愛ちゃんもね」と俺が言った。

繋いだ手がスローモーションのように離れていく。

「終わったらすぐに行くから」

「うん。待ってる」

愛ちゃんは俺の背中をばんっと叩き、笑顔で言った。

「行くまで、潰れないでよ」と。

俺は苦笑いを浮かべ「がんばります」と言った。
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