ホストの憂鬱
店内に入ると、みんなが勢揃いしていた。

いつもなら深夜にならないと来ない、ロビンさんに針生さんにガクさん、そしてなおさんに俺達四人。

オープン前にスタッフが勢揃いしたのは初めて見る光景だった。

そして全員が揃ったのを見計らい、ロビンさんが言った。

「ええ、今日はぼくの誕生日イベントなんですが気楽にいきましょう」

スタッフ一同が声を揃えて「はい」と言う。

ロビンさんは気楽にと言ったが、店内に流れる空気は緊張感にみちあふれていた。

とくに、俺達四人は初めてのイベントで、いくら笑顔をつくろうとしても、緊張で押し潰されてしまい、どうしても顔が強張ってしまっていた。
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