俺様男子に誘拐された件
『二葉さんっ!』
聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
『………尾野…くん?』
前に、あたしに告白してくれた男子だった。
せっせとあたしのいる所まで走ってきた。
『二葉さんっ…二葉さん……』
何度もあたしを呼びながら。
『二葉さんっ!』
遂にあたしのいるそばに来た。
『尾野くん……どうしたの?』
『……泣くなよ…あいつのせいで泣くな!』
あいつ…?
『俺…たまたま告白したとこ見たんだ……
あんなひどい振り方はない。俺だったらマジで…ホントに許さない……』
……あたしは尾野君のこと振ったのに…
なんでここまで追いかけてくれた?
『同情なら…いいよ』
『同情なんかじゃねぇよ!今でも……二葉さんが好きなんだ……俺なら絶対…絶対…泣かせたりしないのに…。』
なんでこんなこと言ってくれるの?
『俺は…!何があっても二葉さんの側にいるから!!二葉さんの味方だから!』
なんかが切れた気がした。
それと同時に涙が溢れ出した。
尾野君の胸のなかで静かに泣いた。