俺様男子に誘拐された件


『二葉さんっ!』


聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。



『………尾野…くん?』



前に、あたしに告白してくれた男子だった。




せっせとあたしのいる所まで走ってきた。





『二葉さんっ…二葉さん……』




何度もあたしを呼びながら。



『二葉さんっ!』



遂にあたしのいるそばに来た。



『尾野くん……どうしたの?』

『……泣くなよ…あいつのせいで泣くな!』



あいつ…?



『俺…たまたま告白したとこ見たんだ……
 あんなひどい振り方はない。俺だったらマジで…ホントに許さない……』



……あたしは尾野君のこと振ったのに…




なんでここまで追いかけてくれた?




『同情なら…いいよ』

『同情なんかじゃねぇよ!今でも……二葉さんが好きなんだ……俺なら絶対…絶対…泣かせたりしないのに…。』


なんでこんなこと言ってくれるの?


『俺は…!何があっても二葉さんの側にいるから!!二葉さんの味方だから!』


なんかが切れた気がした。

それと同時に涙が溢れ出した。




尾野君の胸のなかで静かに泣いた。




< 7 / 277 >

この作品をシェア

pagetop