黒龍Ⅲ
麗が居なくなって約3ヶ月。
「…」
みんなの笑顔を見たのは
いつぶりだろう。
つい最近まで
麗のことが分からず、
信じたいという気持ちが
段々薄れてしまっていたのに。
やっぱり、…
「…麗を信じたい」
自然と出てきた言葉に
みんなが一斉にこちらを見る。
「…ごめん…、
一瞬でも麗のこと
疑った自分が恥ずかしい…っ」
目をうるうるさせる浩貴に、
「…麗さんは、
優しい人です。
温かい人です。
すごく、強い人です。
だけど本当は、
誰よりも弱くて
きっとひとりじゃ
生きていけないんです。
…だから俺たちが信じてあげましょう」
竜聖は優しく微笑む。
「俺は最初から麗ちゃんのこと
信じてたけどねー!」
遥はそう言ってニコッと笑うと
「…麗ちゃんの本当の気持ち知りたいって、
それが決していい答えじゃなくても。
あの話したときさ、
信じるって言ったけど
本当は
信じ切れてなかったんじゃないかなあって
そう思ってたけどさ。
ほら、麗ちゃんたち白龍には
心身ともに
ボッコボコにされちゃったしね(笑)。
だけど、
こうやって伊織くんと凪くんが
協力してくれて
また笑えるようになったでしょ。
結局俺たち
麗ちゃんのことで
悲しんで、泣いて、苦しんで、悩んで
麗ちゃんのことで
嬉しくなって、笑ってって、
全部麗ちゃんなんだよ。
涙流せるのも、心から笑顔になれるのも、
全部麗ちゃんなんだよ。
それってもう、
麗ちゃんのこと信じてるってことだよね。
麗ちゃんのこと、
みんな大好きってことだよね。
最初から疑ったりなんてしてなかった。
ずーっと俺たち麗ちゃんのこと
信じてたんじゃないのかな」
笑いながら涙を流す。