黒龍Ⅲ
蒼井 蛍
「"蒼井 蛍(アオイホタル)です。"」
3日前、
「紹介したい人が居るんだ」
伊織からそう言われ
今あたしの前にはひとりの男が立っている。
「蛍は、話すことが出来ないんだ」
伊織の言葉に、
蛍と呼ばれる男は
申し訳なさそうに俯いてしまう。
「"白龍に入りたいです。"」
スケッチブックに書かれた文字。
その文字はどこか懐かしく、
「…
蛍はどうして
白龍を選んでくれたの?」
「"あなたのように強くなりたかった。"」
目頭がじんわりと熱くなる。