黒龍Ⅲ






伊織を残し、部屋に戻ると



「…っ、…」



また零れた涙。



黒龍、黒龍って、

伊織はどんな気持ちだった?


いつだって黒龍が一番で、
自分のことが一番で、
全然白龍のこと考えてなかった。

伊織が、凪が、
どんな気持ちでいるのかなんて考えてなかった。


伊織の笑顔を見た瞬間、

泣きそうになるのを堪え
無理やり作った笑顔を見た瞬間、




そんな顔させたい訳じゃないんだよ。




「…ご、めっん…、ごめん……」







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