黒龍Ⅲ






「明日だよね…、

 翔司くんのところに行くの」


ふたりが自分たちの部屋に戻ると、
不安気にそう聞いてきた葉月。


「ああ、
 健と要に会うのも半年ぶりくらいだな…」


「楓も居るの?」


「もちろん、恭介も来るって言ってた」


葉月は、
楓ちゃんが総長をしていた白菊の副総長の元彼女で
楓ちゃんとは親友だ。


「…私も楓に会いたいな」


懐かしそうに、だけど悲しそうにそう言った葉月。


「ああ、一緒に行こう」


そう言って葉月の手を取ると安心したのか、
そのまま俺の肩に頭を乗せ眠ってしまった。


「…翔司…、

 もう17年も経っちまったよ…。


 俺にも、

 守りたい人が、大切な人が出来たんだ。



 …お前のことも、守りたかった、

 すげえ、大切だった、


 今でも、大切だ…」


ぽろぽろと流れる涙は止まらなかった。



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