黒龍Ⅲ
「その方が麗さんらしいですよ。
…ただ、
白龍には相応しくないですね」
真顔になったあたしを見て
そう言った崎沢は、
また不気味な笑顔を浮かべる。
「…黒龍総長、つまり海龍は
海の底でひっそりと暮らす。
だけど、白龍は違いますよ。
天帝に仕えているとされた龍。
麗さん、
あなたはこれから
鬼神組に仕えるのです。
白龍が全国№1暴走族になれば
鬼神組が全国№1になったも
同然ですからね」
「…っ、」
…違う、黒龍は、
お父さんが思い描いた黒龍は、
「…海を守る、
仲間を守る、かけがえのない存在…」
悪役なんかじゃないんだ、
そう言いたかったのに
「そんなことはどうでも
いいんです」
崎沢はまた、
あたしより一歩前を進む。