黒龍Ⅲ
「なら…!
俺も一緒に行く」
伊織の言葉に、
「”僕が行く”」
さっきまで真剣な表情で
話を聞いていた蛍が、
そっと白い紙に文字を書き出す。
「”僕なら白龍に入ったばかりだから
闇天狗にも怪しまれないと思う”」
「でも、それなら麗は…!?」
「男装する」
凪の質問にすぐに答える。
「…正直、
闇天狗にも黒龍にも
白龍だってことは知られたくない。
今回は、
蛍にお願いしようと思う」
あたしがそう言うと、
ふたりはもう何も言わない。