黒龍Ⅲ
ざっと20人程倒しただろうか…
周りを見渡すと、
闇天狗はほとんど倒れ込んでいる。
「…やっぱり、みんな強いなあ…」
小さく呟いた言葉、
ひとり言のはずなのに
「総長のお陰だよ」
後ろから返ってきた言葉に、思わず動けなくなる。
「やっぱり、助けにきてくれた。
ありがとう」
よく知るその声に、
我慢していた涙が一斉に溢れ出す。
周りにバレないようあたしの名前は呼ばず、
こんな時でもあたしのことを気にかけてくれる、
ありがとうなんて言ってもらえる資格ないのに、
誰よりも信頼していた、大好きな…
「…っ、ゆう、さんっ…」
振り返ることができないあたしを
そっと後ろから抱きしめてくれる。
「そんなに泣かないで。
感動の再会なのに」
溢れる涙を優しく拭ってくれる悠さんは、
今までと変わらない笑顔をあたしに向ける。
その笑顔で、また涙が溢れる。