黒龍Ⅲ
「…期待してますよ、
麗さん」
嬉しそうに笑う崎沢を最後に
あたしはドアノブを回した。
ガチャ…
…
「…ふー、」
部屋から出た途端、
力が抜けたあたしは
廊下だというのに
座り込んでしまう。
相変わらず
無理やりピアスを取られた耳は
じんじんと痛み、
痛みと比例して
出血も止まらない。
…そんなことよりも
お父さんの形見で、
唯一黒龍のみんなと
繋がっていられたピアスを
奪われてしまったことの方が
どうしようもなく痛い。