黒龍Ⅲ
白龍総長
---…
"その真っ黒な髪も
真っ黒な瞳も
翔司と同じ。"
繰り返される
お母さんの言葉。
その言葉を思い出すだけで
涙が出そうになるのは、
崎沢の言う通り
あたしにとって
"お父さん"も"黒龍"も
大切で失いたくないものだから。
…
「大切な人を、場所を守るために
ここに来たんだから…」
近くにあったハサミを手に取ると
「…元の長さになるまでに、
絶対に帰る」
そう、心に決めて
真っ黒で少し癖のある長い髪を
肩につきそうでつかない長さまで
バッサリと切っていく。