黒龍Ⅲ
---…
目的の場所に着いてから30分。
あたしは未だ、
倉庫の扉に手をかけられずにいた。
白を基調とした外観は
どこから見ても倉庫ではなく、
お屋敷のようで。
こんな倉庫に居る白龍は、
もしかしたら
みんなお坊ちゃまなのかもしれない。
そんな馬鹿げたことを考えないと
今にも心臓が握りつぶされそうで。
…
こんなに緊張したのは
いつ振りだろうと、
ふと考えてみる。
だけど
その答えは結局出ないまま、
「…行くか…、」
あたしは覚悟を決めて、
扉に手をかけた。